フード連合 食の安全・安心セミナーPart1
- 2023.06.19
フード連合で定める「食の安全・安心」強化月間に合わせて、加盟労組事例の紹介として
マルハニチロユニオン 白山委員長からの講演がありました。
2013年の年末に起きた「アクリフーズ農薬混入事件」を記憶されている方も多いと思います。
マルハニチロ水産(当時)の子会社だったアクリフーズで製造された冷凍ピザから、
農薬が検出され、契約社員の男性が逮捕されるという衝撃の大きな事件でした。
このときのマルハニチロ社内の対応を中心に、「何が問題だったのか」「労働組合として食の安全のために
何ができるのか」といったことを講演いただきました。
〇「何が問題だったのか」
一つの問題だけではなく、さまざまなことが背景となりますが、この事件の少し前、2012年にアクリフーズでは
人事制度が改定され、そのことに対する不満の声が従業員から上がっていました。
しかし、その不満を緩和する施策は特に取られておらず、2013年には工場内でのいたずら行為が複数回起きていたそうです。
後に第三者委員会では、「企業としてのミッション欠如」を第一の問題として挙げていますが、
「安全・安心な食品を届ける」というミッションを従業員全員が共有できていなかったことが
大きな原因となりました。
この事件をきっかけに、「フードディフェンス」といった言葉が浸透するようになりましたが、
マルハニチロでは「性善説」「性悪説」のいずれでもない「性弱説」を基本としてフードディフェンスに取り組んでいるそうです。
※性弱説・・・人間の基本は「善」であるが、さまざまな誘惑や心の迷いがあるという考え。
心が弱っている人がいたときに、社内の体制によってそれを防ぎ、負のスパイラルに迷い込む人をなくしていくことを目指す。
〇労働組合として出来ること
マルハニチロユニオンとして、食の安全・安心に対しての取り組みもお話しいただきました。
特に心に残る言葉として「私たちの働く場所を守ろう」というキーメッセージがあります。
食の安全・安心を守ることは、働く場所・生活を守ることに繋がります。社会の信頼を失った会社は、解体され、存続できないケースもあります(アクリフーズという会社は現在ありません)。
会社や上司に言いづらいことは、どれほど心理的安全性を高めても必ず存在しています。
そのために上司に言いづらい、言うまでもない、と感じることでも、組合が拾い上げるセーフティネットを持つことが食の安全・安心を守る最大の取り組みと言えそうです。
以 上
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