第6回 「育児介護休業法」


登場人物は想像上の存在です。類似する実在の人物への誹謗中傷等はお止めくださいますようお願い申し上げます。
- ヤマシタ:
 - いや~ずいぶん暑くなってきたね。
 
- ミタ:
 - 春はあげぽよですね。
 
- ヤマシタ:
 - ん、なんか言った? 春は・・・?
 
- ミタ:
 - いえ、いえ! もうすぐは~るですね~、こいをしてみませ~んか~。
 
- コモリ:
 - 鼻歌でごまかしきれてないし、むしろ季節が遠ざかってるぞ。
 
- ヤマシタ:
 - ゴキゲンだね、ミタ君。
 
- コモリ:
 - やっぱ新婚ですからね。
 
- ヤマシタ:
 - そうか新婚か。新婚生活はどう。楽しい?
 
- ミタ:
 - 楽しいですね~。幸せ最高ありがとうマジで、って感じですね。
 
- メフィ:
 - いいですね。「新婚生活」私の好きな言葉です。
 
- コモリ:
 - ・・・どちらさま?
 
- メフィ:
 - 特命全権大使のメフィラ木です。まずは名刺をどうぞ。 「郷に入っては郷に従え」私の好きな言葉です。
 
- コモリ:
 - ど・・・どうも・・・
 

- ミタ:
 - へー、特命って?
 
- メフィ:
 - まあそれはおいおい、ということで。
 
まず、法律の改正内容は?
- ヤマシタ:
 - それはそれとして、ミタ君、さっきの会社からの育児介護休業法の改正に伴う申入れ協議の内容、ちゃんと理解できた?
 
- ミタ:
 - もちろんです。バッチリです。
 
- ヤマシタ:
 - おっ、いいねぇ。どう思った?
 
- ミタ:
 - いや~、なんていうか、イイ感じですよね。
 
- コモリ:
 - (あ~コイツ、絶対分かってないな)
 
- ミタ:
 - うん、イイ感じだと思います!
 
- ヤマシタ:
 - ・・・。
 
- コモリ:
 - (さあ、どうする委員長?!)
 
- ヤマシタ:
 - なるほどね。OK!
 
- コモリ:
 - いや全然OKじゃない! ちゃんと申入れの内容説明して!
 
- ミタ:
 - じゃあ俺が説明します!
 
- メフィ:
 - では、私が。
 
- コモリ:
 - そこは私が!
 
ミタ・
- メフィ:
 - どうぞどうぞ
 
- コモリ:
 - ぐぬぬ・・・。
 

- ミタ:
 - はやくはやく。
 
- コモリ:
 - しょうがない。今回の育児介護休業法の改正は、「男性の育休取得率の低さ」が背景にある。
 
- ミタ:
 - 最近、結構男性も育休取ってません?
 
- コモリ:
 - 率で言えば、60%くらいは取っているみたいだな。俺が入社したころに比べればかなり増えてきているし、日数も比較的長く取る人が増えてきたのは間違いない。ただ、世の中では男性の育休取得率は2割にも達していない、というのが実態かな。
 
- ミタ:
 - え、じゃあうちは進んでるってことですか。
 
- コモリ:
 - 世間一般よりは進んでいるといえるだろうね。ただ目指すべき姿には遠いともいえる。「育休を取得する」ことではなくて「育児に本格的に参加する」ことが目標だとすると、数日しか育休を取れない人も多い状況はまだまだなんじゃないかな。
 
- ミタ:
 - なるほど。男性も育休をもっと長く取る、ってことを目指しているんですね。
 
- ヤマシタ:
 - その分、女性の復帰が早くなることで、より女性の活躍を進めたい、というのが国の考えなんじゃないかな。
 
- ミタ:
 - で、そのために今回どういう改正があるんですか?
 
- コモリ:
 - やっぱわかってねえじゃん・・・。今回の改正にはいくつか大きな目玉がある。
 
- ミタ:
 - すご~くざっくり言えば①「産後パパ育休」の創設、②育休を複数回取得可能、③育休取得時期の柔軟化、の3つですよね。
 
- コモリ:
 - なんだ、わかってんじゃねえか・・・。
 
- ミタ:
 - 単語の暗記は得意なんで。
 
- コモリ:
 - 中身もちゃんと理解して!産後パパ育休は、産後8週間の女性が産休の期間中に、4週間まで取ることができる。これは普通の育休と別の扱いなので、男性はこれ以外に育休を取ることができる。
 
- ミタ:
 - これまでは取れなかったんですか?
 
- コモリ:
 - 「女性の産休中に男性が育休を取ること」自体はこれまでも可能だったし、産後8週間以内に育休を終了すれば、男性は2回目の育休を取ることもできた。基本的には育休は一人の子供に対しては1回しか取れないのが基本だけど、女性は産休+育休。男性は産休期間中とそれ以降で育休2回取れる、というのがこれまでのルール。
 
- ミタ:
 - え、じゃあ何が変わったんですか?
 
- コモリ:
 - そこが②とかかわってくる。「産後パパ育休」と「育休」はまた別物だから、産後パパ育休をとっても、育休はまだ1回も取っていないことになる。そして、産後パパ育休、育休両方とも、2回に分けて分割取得ができる。つまり、男性の場合、子供が1歳になるまでの間に、育休が4回取得できるということになる。
 
- ミタ:
 - ナルホド。一気に取らなくても、取れるときに何度か取ることができるってことですね。
 
- コモリ:
 - そういうこと。③も、1歳以降の延長の場合は、「1歳」か「1歳半」のときしか育休をスタートできないというルールだったのが、いつでもいいということになる。
 
- ヤマシタ:
 - いままでは1回復帰したら育休はもう取れなかった。だから女性が1年から2年の育休を一気に取って、男性はその間に少し取る、というスタイルだったよね。休職中は雇用保険から補助はあるけど給料も出ないし、経済的にも男性が思い切って休みづらかったかもしれない。夫婦二人で交代しながら育休を取ってくださいね、というのが今回の制度で国がやりたいこと、ってことになるね。
 


- ミタ:
 - よーし、俺も子供が生まれたら育休とるぞ~。
 
- コモリ:
 - ちなみに、1つ気を付けたほうがいいことがある。これまでは、月末時点で育休を取っていれば、その月の社会保険料すべてが免除された。つまり、6月や12月の末に休んでいれば、給与と賞与両方とも社会保険料が免除になっていた。
 
- ミタ:
 - ほう。
 
- コモリ:
 - いっぽう、月末に1日だけ休んだ人には免除がある一方、10日間休んでいても、月をまたがずに休みを取っていた場合には免除がない、という不公平感があった。ということで、まず月をまたがない場合でも、14日以上の休みを取った場合はその月の給与からの保険料が免除されることになった。
 
- ミタ:
 - いいですね。月末月初って休みづらいし、長く取るモチベーションになりますね。
 
- コモリ:
 - 逆に、賞与に関する保険料の要件は厳しくなって、6月と12月末をまたぎ、1か月以上の休みを取っていないと免除されないことになる。
 
- ミタ:
 - なるほど。要するに、ちゃんとまとまった期間の育休を取りなさい、ということですね。
 
- メフィ:
 - 「社会保険料」私の苦手な言葉です。
 

法律+αの今回の就業規則改正
- ミタ:
 - ここまで法律上の話でしたけど、会社としてはどうするんでしたっけ?
 
- コモリ:
 - いままさに会社に説明してもらったやん。話聞いてないオブ・ザ・イヤーじゃん。
 
- ミタ:
 - いやあ、それほどでも///
 
- コモリ:
 - 一ミリも褒めてないから。
 
- ミタ:
 - で、どうなんですか。
 

- コモリ:
 - (恐ろしい開き直りだが、これに慣れてきた俺も恐ろしい・・・。)
 
- ヤマシタ:
 - 会社としては、当然ながら法律は遵守することになるよね。
 
- コモリ:
 - そうですね。プラスアルファのこともいくつかあります。育休の期間はもともと法律の「1歳まで」よりも長かったですが、これが2歳まで、に延長になります。
 
- ヤマシタ:
 - 育休の期間って、子供の誕生日によって違う仕組みだったよね。
 
- コモリ:
 - そうです。文章だけ読むと、長いしよくわからないかもしれませんね。1歳を経過した次の4月までは必ず休める、ということと、最低限1歳半までは休める、ということでした。
 
- ミタ:
 - 1歳半は区切りなんでわかりますが、なぜ1歳のあとの4月?
 
- コモリ:
 - いま、特に都心部では保育園に入るのは「保活」というくらい激戦になっていて、空きがなかなか出ない。だから、卒業する人が出る4月に入るのが一般的、ということで1歳を過ぎた4月が重要になってくるということ。
 
- ミタ:
 - なるほど。預けられないと復帰できませんもんね。
 
- コモリ:
 - ということだったのだが、10月からは一律2歳まで育休が取れるようになった。
 
- ヤマシタ:
 - 期間も伸びたし、わかりやすくなっていいかもね。
 
- コモリ:
 - それから、育休や介護休職、短時間勤務などの両立支援制度は勤続1年以上でないと使用できなかった。でも、お子さんがいる方が入社してきたり、介護はいつ発生するかわからない、ということもあって、この1年要件が撤廃になる。
 
- ミタ:
 - 入社してからすぐに短時間勤務ができるということですか。良し悪しあるかもしれませんけど、これから男性がもっと育児する社会になるなら、キャリア採用で優秀な方に来てもらうためには必要なことですよね。
 
- コモリ:
 - 総じて、今回の改正は一見わかりづらい点もあるが、よく理解できれば使いやすい仕組みになっていると思っているんだよね。
 
- ミタ:
 - それはそうですね。私も子供が出来たら使うぞ~。
 
- ヤマシタ:
 - で、結局あなたの特命は?
 
- メフィ:
 - これまではほとんど女性ばかりが育児休業を長く取ってきました。男性も昔に比べてずいぶん育児を手伝い、休みを取る人も増えている。しかし、それでは真の意味で男性が育児休業を取っているとは言えません。私が目指しているのは男性も女性も子供とかかわり、キャリアもあきらめない「シン・育児休業」の実現です。そのために日本政府と交渉して法律を変えさせました。
 
- コモリ:
 - え、すご。
 
- メフィ:
 - まだ制度が変わっただけです。もう少し皆さんのことを見守らせてもらいますよ。「大器晩成」私の好きな言葉です。
 
- ミタ:
 - よろしくお願いします。「大器晩成」俺も好きな言葉です。
 
- コモリ:
 - のん気か!ミタはもっと早く成長して!!
 


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