第5回 「春闘」
登場人物は想像上の存在です。類似する実在の人物への誹謗中傷等はお止めくださいますようお願い申し上げます。
- ミタ:
- やっと春闘も妥結できましたね。
- コモリ:
- うーむ。
- ミタ:
- 私は春闘2回目になるんですけど。
- コモリ:
- うーむ。
- ミタ:
- 昨年に比べて、要求項目も多いですし、今年は大変だったなという感じがありますね。コモリさんもお疲れ様でした。
- コモリ:
- うーむ。
- ミタ:
- とりあえず、ご飯食べますか。・・・あれ? コモリさん? もしや魂抜けてる?
- コモリ:
- うーむ。
- ミタ:
- カレー並盛と大盛どちらにします?
- コモリ:
- うーむ大盛。
- ミタ:
- あ、魂抜けててもそこは脊髄反射できるのね。了解です。マツオさんは?
- マツオK:
- 僕はサバだ! サバになりたい!
- ミタ:
- え? サバカレーはないです。
- マツオK:
- 100回叩くと壊れる壁があるとする。でもみんな何回叩けば壊れるかわからないから途中でやめてしまうんだ。あきらめるな!
- ミタ:
- ・・・シーフードカレーにしときますね。
- アカキ:
- オレは、チキンカレー超超超大盛GIGAMAXッ・・・!
- ミタ:
- 了解でーす。
- コモリ:
- うーむ(え、そんなんあるの? 俺には大盛しか聞かなかったのに?)。
賃上げのこと
- ミタ:
- あーうまかった。
- コモリ:
- カレーのおかげでやっと現実に戻ってきた。魂抜けてた。
- ミタ:
- ところで今回の賃上げの回答、正直びっくりしましたよね。
- コモリ:
- そうだな。改めておさらいすると、全学齢に500円のベア。そしてPCⅠ~Ⅲの1~3号給に別途4,000円。立場によってとらえ方は違うと思うが、我々交渉委員だけじゃなく驚かれた方も多いだろうな。
- ミタ:
- てか、「号給」ってなんですか?
- コモリ:
- 簡単に言えば「○年目」と同じような意味合いになるかな。修士卒や中途採用の方は、学齢に応じて「PC○の○年目」という扱いで入社することになる。修士卒の場合はPCⅠの3号給が初任格付けだよね。
- ミタ:
- そういうことか。確かに会社の発言を思い起こすと、第1回の交渉時点では「当社の賃金カーブ全体という観点では、優位性がないとは思っていないが、若年層に課題ありと認識している」という発言があって、第2回交渉では「大卒及び修士卒を中心としたPCⅠ~Ⅲの賃金を他社と比較した際、PCLと比べてやや優位性が小さい」ということでしたよね。
- コモリ:
- 組合としては、生活水準維持の観点から全員一律の回答を求めていたが、PCの若手に対してこれだけ大きなインパクトのある回答がされたということは、会社の問題意識の大きさが表れているな。っていうか、俺は500円だけどミタは4,500円なのか・・・。なんか凹むな・・・。
- マツオK:
- 気にすんなよ! くよくよすんなよ! 大丈夫、どうにかなるって!ドントウォーリー!ビーハッピー!
- コモリ:
- え、いや、そんなに言われるほど落ち込んでるわけじゃないんですけど。
- マツオK:
- 500円しかない、かもしれないけど全員に回答があったじゃないか! 工場でもPCの設備屋や品管担当が退職してしまうのは現場の俺たちにとっても困るんだよ。
- ミタ:
- 確かに、2021年度は、組合で把握する限り分社以降最もPCコースの退職が多かった2020年度をさらに上回って退職者数を更新した1年でしたからね。今回は要求への想いでも、「一緒に卒業した同級生より給与が低い」といったリアルな声も複数ありましたよね。ぶっちゃけ私も感じたことありますし。
- コモリ:
- そういう意味では、今回会社が示した強い危機感は、組合としても認識を新たにしないといけないな。
- マツオK:
- そうだよ! これで優位性が確保されたのか、それともまだまだ足りないのか、そのあたりも確認していこう。優秀な人が長く働く会社にならないと!
- コモリ:
- そうですね、そのためには給与以外の労働条件も大事、ということで今回の春闘ではついに諸要求交渉をやりました。
諸要求のこと
- マツオK:
- 諸要求は結構長い間議論してきたよな。いつからだっけ?
- ミタ:
- 2020年9月からですね。だから1年半。
- コモリ:
- (あのミタが即答・・・明日は雨だな)
- ミタ:
- 今回の交渉では、率直に言えば、「成果」としては何も得られなかったですよね。
- アカキ:
- あまりにも、率直・・・ッ! その通りだが・・・ッ!
- コモリ:
- いや、確かにその通りだ。残念ながら労働条件として明確に得られた成果はなかったし、交渉団としてはこれまで意見を頂いたり、応援してくれた皆さんには本当に申し訳ないと思う。ただ、前向きに考えれば、今回2週間の交渉の中を通して、様々な視点で議論を行ったことで、会社の考え方を知ることができたことは良かった点だし、今後の総労働条件の向上への第一歩にはなったんじゃないか。
- マツオK:
- そうだ! あきらめたらそこで試合終了だ!
- ミタ:
- 終了だー!
- アカキ:
- 終了だー!
- マツオK:
- 取り組みのやり方を改善して、次につなげていこう!
- ミタ:
- っていこうー!
- アカキ:
- っていこうー!
- コモリ:
- ・・・。実際、今後の改善ポイントは2つあると考えています。1つは組織議論プロセスの見直し、そして2つ目は会社との交渉期間の短さです。組織内では1年半とかなり長い時間をかけたわけですが、会社との交渉は2週間と短期決戦でした。
- ミタ:
- それって、春闘交渉の中でやる以上、ある程度仕方ないですよね?
- コモリ:
- その通り。今後も春闘交渉の場で議論すべきかどうか、というところから検討していく必要がある。会社は、組合として組織議論を丁寧に行ってきた点については、尊重する姿勢を見せていた。組織議論はしっかりとプロセスを踏んで行いながらコンパクトに、そして会社と議論を行う場をどのようにもうけていくか、ということが今後のポイントになる。
- マツオK:
- いや、というかそもそも、諸要求って、獲得できる前提じゃなかったの?
- コモリ:
- そうですね、これまでの諸要求では、要求案策定の基本的な考え方として、「当社の労働条件の位置づけなども勘案して、成果として獲得することを前提に、冷静かつ慎重に検討を行う」としていました。つまり、獲得できると確信したら要求する、ということです。今回、久しぶりに諸要求を掲げるにあたって、誰が「成果として獲得すること」を判断できるのか、ということや、要求までに時間がかかりすぎるのではないか、ということからこの部分は削除してます。つまり、「組合として妥当で、必要なことであれば、要求し議論をする」ということにしたんです。
一時金について
- マツオK:
- 今年は一時金の交渉もいままでにない初めての感覚だったよ! なあ!
- コモリ:
- マツオさん、春闘自体初めてですよね?
- マツオK:
- そうか! そうだった!
- ミタ:
- いや、でも今年は去年以上に「頑張りの声」が響いた感覚がありましたよね。
- コモリ:
- これは確かにそうだな。
- マツオK:
- 製粉でも社長自ら「社員の頑張りに本当に感謝している」という言葉があった。声が届いたと思ったよ!
- コモリ:
- 製粉だけじゃないですよね。「会社方針に沿って社員が努力していることが良く伝わった」「当社の社員のレベルの高さを感じた」といった声が会社側からも出ていたし、今回、支部から挙がった頑張りのレベルがかなり高かったということではないでしょうか。
- ミタ:
- 正直、頑張りの声って何のために出しているんだろう、って思ってました。
- コモリ:
- 春闘の一時金交渉は、業績数字とその内容に対して、水準を議論していくわけだが、外部環境も含めて業績の内容については、組合よりも会社のほうが当然詳細な情報を持っているし、再三会社が言っているように日清労組の組合員だけが業績に貢献しているわけではないのも事実ではある。だからこそ、くm
- マツオK:
- そうかもしれないけど、俺たちが頑張った分は評価してもらわないと!
- コモリ:
- マツオさん、最後まで聞いて。カットインしないで。だからこそ、組合員が現場でどれだけ業績に対して貢献したり、努力をしてきたか、という組合しか知りえない情報が交渉の武器になっていて、これなくして一時金交渉は交渉にならない、ということなんですよ。
- ミタ:
- 経営者も全員の仕事を理解しているわけじゃないですしね。見えてないこともいっぱいありますよね。
- コモリ:
- 製粉なんかも、昨年もかなりの声が集まったけど、今年はそれを上回る質と量の声だった。それが「満額回答」につながったのは間違いないだろうな。
- ミタ:
- 今回はベースアップもあって、それでも「満額」なのはすごいですよね。
- マツオK:
- すごいことだよ!
- ミタ:
- 僕の頑張りも委員長が評価してくれて、食べログ4点台の焼肉連れて行ってくれないですかね?
- コモリ:
- いいとこ食べ飲み放題2980円までじゃない?
- ミタ:
- え~~。ホルモンが炎上するレベルのお店じゃないですか。
- マツオK:
- いいじゃないか! 気持ちもホルモンも熱く燃やしていこうぜ!
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